カルネ・ド・フランス

ヴァレリーさんの子犬

ヴァレリーさんとそのご主人が住んでいる農家の入り口。『LA FERMETTE A SUZON』は、彼女の飼育ビジネスの名前です。私たちの家から300メートルと、近いところにあります。

フランスの田舎に住むというのは、町では考えられない生活ができるという意味もあります。今回は、同じ村に住んでいるヴァレリーさんとその子犬についてご紹介しましょう。彼女は、夫と住んでいる農家で犬と猫を飼い、インターネットを通じて販売する仕事をしています。彼女は小さいときから動物が大好きで、動物と関係ある仕事をしたかったらしく、8年前に夫のギヨームさんとこの村にたどり着き、動物に囲まれて生活するという夢を実現できたのです。ヴァレリーさんは現在18匹の犬(ベルンのブービエー、セントバーナードー)そして15匹の猫を飼っています。その他、ウサギ、鶏、馬も飼っています。「この仕事は田舎でしかできないから、町を出てこの村に来たのだ」と、語っています。

子供がいない彼女は、動物を自分の子供のように可愛がっていて、動物たちが販売されると、「悲しくなることがある」と言っています。でも、「いつまでも、自分の家で育てるわけにはいきませんから」と。飼育にはたくさん費用がかかることもあり、彼女は動物に最高のケアと栄養を与えています。

お母さんとその16匹の赤ちゃん。全員無事に生まれたのは奇跡的だそうです。 ヴァレリーさんのおかげで現在も皆元気です。

(左)子犬にボトルでミルクをあげているヴァレリーさん。4時間おきに1回1時間かかる大変な作業です。
(右)ヴァレリーさんのご主人、ギヨームさんも手伝っています。

実は、我が家が飼っている犬、アロエちゃん(第3回目の『カルネ・ド・フランス』でご紹介しました)もヴァレリーさんの家からもらったので、アロエの妹とお母さんもまだそこに住んでいます。

たまたま、お正月(ちょうど1月1日)にはヴァレリーさんの家で大変おめでたいことがあり、皆さんにもご紹介したいと思いました。アロエの妹に16匹の子供が生まれたのです。これはベルンのブービエーにとって珍しいほど多いので、大変な状態になり、獣医が帝王切開を行う必要があったのです。幸いに、16匹の子供も無事に生まれ、お母さんも(疲れていますが)元気です。

ただ、お母さんは16匹の子供に乳を飲ませることは無理で、子犬に栄養を与えるために、ヴァレリーさんがベビーボトルでミルクを飲ませています。4時間ごとに、1時間をかけて、16匹の犬にボトルを与えています。これは大変な作業で、「子犬が生まれてから、ほとんど寝ていない毎日です」と言っています。ベビーが少し大きくなるまで、ミルクをあげる必要があり、またそれを1か月間続けなければならないのです。夫のギヨームさんも手伝い、たまに近所の人や友達も手伝ってくれますが、ヴァレリーさんが中心となり、責任をもって取り組んでいます。

母親のように子犬の面倒をみて、栄養を与え、世話をし、可愛がっている彼女のその姿を見たときに、私は感動しました。現在、中近東に戦争が起こっていて、毎日負傷者や被害者のニュースがテレビで流れています。こういった悲惨な状況を招いてしまう人間の破壊力が問題になる一方で、ヴァレリーさんのような人間もいるのです。彼女は生き物を大事にし、いくら小さい存在であっても、大きくなるまで守り、保護する努力をし続けています。私にとってそれはとても素晴らしいことなのです。

バレリーさんのウェブサイト www.lafermetteasuzon.com

ページトップ