カルネ・ド・フランス

フランスのファミリー

とても中のよいジャンポールさんとミリアムさん。「若いときに離婚し、お互いに巡り合って新しい家族を作れて本当に良かった」と言っています。ジャンポールさんは自転車から落ちて腕を折ってしまい、腕にギブスがあります。「家事と料理があまりできないから、迷惑だ」とミリアムさんが半分冗談まじりに悩んでいます。

息子レオさん、長女マリーさん、次女カミーユさん。毎日一緒にカードゲームをしています。

今回は私の友達についてご紹介したいと思います。自宅の近くにあるMontceau(モンソー)市に住む家族で、ある意味で典型的なフランス人のファミリーですが、日本人にとっては、珍しいところもあると思います。フランス人のファミリーに対する考え方とライフスタイルについてお伝えする上で、興味深いでしょう。

ファミリーはGALLET(ガレー)と言い、お父さんはJean-Paulジャンポールさん(55歳)、お母さんはMyriamミリアムさん(43歳)。ジャンポールさんは元々会計士ですが、数年前に失業してから、転職を繰り返しています(例えば、パソコン関係や映画祭の組織など)。「今の年齢では、正社員にはなれないだろう」と言い、派遣社員のような形で働いています。ミリアムさんはソーシャルワーカーとして働き、市に勤めています。彼女のほうが収入が安定していますから、彼女が「稼ぎ手」で、ジャンポールさんが家庭や子供の世話をします。フランス語ではPere au foyer(ペールオーファイエー)と言い、ハウスハズバンド(家にいるお父さん)という意味です。ジャンポールさんはこの役割をとても真剣に果たし、買い物、家事、料理からすべての責任を持っています。ミリアムさんにとっては、「私の収入だけでは経済的には苦痛ですが、彼が家の面倒をみてくれるから、安心して家を任せ、楽に仕事ができる」と言っています。

このご夫妻には、子供が3人います。大学生の長女Marieマリーさん(25歳)、高校生の次女Camilleカミーユさん(18歳)、息子Leoレオちゃん(13歳)。珍しいことに、子供はそれぞれに親が違うということです。つまり、ジャンポールさんとミリアムさんにとっては、双方とも二度目の結婚で、前の配偶者との子供を抱えています。マリーさんはジャンポールさんの前の奥様の娘で、カミーユさんはミリアムさんの前のご主人の娘。レオちゃんのみがジャンポールさんとミリアムさんの息子になるのです。こういう「再構成した家族」(famillle recomposee)は、フランスではかなり多いです。

ジャンポールさんとミリアムさんが15年前に知り合った時には、二人とも離婚していて、「二度目のチャンスがあり、一緒に、お互いの子供を連れて新しい家族を作ることができたことは、本当に幸せだ」と言っています。子供たちも大変仲良くしています。

Galletファミリー。幸せな「再構成した家族」。親が子供を誇らしく抱いています。

日本では、ジャンポールさんのような「専任ハウスファザー」そして、「再構成した家庭」はまだ大変珍しいと思いますが、ガレーファミリーを見ますと、とてもバランスのとれた、幸せな家庭である、というのが印象的です。

もう一つ、ガレーファミリーはみな日本が大変好きで、日本の漫画、アニメ、映画、小説についてとても興味を持っているのが面白いと思います。例えば、宮崎駿のアニメ、谷口ジローと水木しげるの漫画、溝口健二の映画、村上春樹の小説など。特に漫画については、私よりもずっと詳しいのです。親も子供たちも、「日本が大好きです。一回だけでも行ってみたい」と言っています。この「再構成した家族」が皆飛行機に乗って、日本に飛んでゆく姿を見たいですね。

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