カルネ・ド・フランス

フランスの家庭料理−ミルクソースのポークロースト

私の大好きなカッセロールSTAUBです。この中で、様々な料理(スープ、カレー、煮込みからシンプルな野菜と肉魚料理を作っています。15年間も使っていますが、全然傷がつかない、最高のクオリティーの鋳鉄の鍋です。日本でもSTAUB(スタウブ)が販売されていると思います。LE CREUSET(ル・クルーゼ)のほうが有名かもしれませんが、フランスでは2つのメーカーが愛用されています。

皆さんは、普通のフランス人家庭がどのような食事をしているのか、どのような食べ物が好きなのか......に、興味を持っていらっしゃると思います。私もフランス人の友達に「普通の日本人家庭って、どんなものを食べるの?」としょっちゅう聞かれます。食べ物を通じて、ある文化、民族のライフスタイル、日常生活が一番伝わるかもしれない......と思うことがあります。従って皆さんに、レストランではなくフランスの普通の家庭料理について、より詳しくご紹介して行こう、と思いました。

今回は、私のファミリーが大好きな料理、ROTI DE PORC AU LAIT(ミルクソースのポークロースト)をお届けします。非常に簡単で手間がかからない料理ですが、香ばしくて、シンプルな材料にも関わらず豪華になります。冬の季節に最適だと思います。息子が学校から帰って来て、ミルクソースの中で2時間以上煮ていた豚肉の香りをかぐと、「あ、うれしい! ポールオーレーだ(ミルクの豚肉だ)」と喜ぶことが多いです。ソースが大好きだから、最後の残りの一滴まで、パンを浸して食べるくせもあります。

ミルクで煮ることによって、豚肉が非常に柔らかくなるのが、この料理のポイントです。ミルクを使うことで肉が柔らかくなるのは、昔から知られています。人間の肌も、ミルクあるいはミルクの入ったクリームで手入れすれば、きれいになる、という発想もあります。例えばエジプトの女王、クレオパトラが毎日何百リットルものミルクを使ったお風呂に入ったおかげで、非常に美しい肌に恵まれていた、という説もあります。伝説かもしれませんが、ミルクが「美」、そして「健康」と結びついているのは確かです。今日でも、有名なフランスの自然化粧品のメーカーが、Lait de bain Cleopatre(クレオパトラのバスミルク)という、ミルクパウダーを使った入浴剤を販売しています。もちろん、赤ちゃんもミルク(母乳あるいは牛乳)を与えられることによって大きくなるので、「ミルクは生命」というイメージもありますね。

豚肉は、フランスでは比較的安く、どんな家庭でもよく食べる習慣があります。ロースト以外、骨付き背肉(ポークチョップ)、ソーセージ、フィレ、内臓、レバー、脚と尻尾までと、様々な部分を食べるのです。フランス語では、豚はCochon(コション)と言い、「Dans le cochon, tout est bon」(コションであれば、すべてが美味しい)という表現もあります。もちろん、フランスに多く住んでいるイスラム教の人であれば、豚が宗教上禁止されているために、食べていません(彼らは、羊とチキンをよく食べます)。

さて、私の「秘密」のレシピをお届けします。ミルクローストは様々なバリエーションがあり、いろいろと「実験」し、自分なりのレシピを「開発」しました。ミルクにはシナモン、ハチミツ、ローリエが入っているために、少し甘みのあるソースになります。

どうぞ、皆さんも、フランスの家庭の雰囲気を感じさせる豚料理を作ってみませんか。

【マヤのヒント】アルマニャック、あるいはコニャックを少し入れることによって、最高の味になります。

LA RECETTE DE MAYA・ROTI DE PORC AU LAIT −マヤのレシピ・ミルクソースのポークロースト

<材料>

豚肉(ロースト)1.5kg、塩・適量、黒粉コショウ適量、サラダ油適量、ミルク1リットル、ローリエ2枚、ニンニク(皮をむいていないままに使う)6個、シナモン適量、クローブ2個、ハチミツ大さじ1、アルマニャックあるいはコニャック大さじ2。

<調理法(時間:約150分)>

  1. 豚肉は塩、コショウをすり込み、鍋(できれば鋳鉄の鍋)に油をかけて、肉を15分ぐらい焼きます。全部きれいに焼くまでに、数回、肉を回します。

  2. ミルクソースを作っているところです。牛乳に、ニンニク、シナモン、クローブ、ローリエを入れて煮るだけでおいしいソースになるのです。

    肉を焼いている間、ミルクを別の鍋に入れて、ローリエ、シナモン、ニンニク(皮をむいていないまま)、クローブを加えて沸騰させます。火を弱めて15分ぐらいゆでます。


  3. ミルクの中にゆっくりと煮ている肉。本当にクレオパトラの肌のように、ミルクのおかげで柔らかくなるのですね。

    肉を焼いた後、鍋に余っている油を捨てて、ミルクソースを入れます。とろ火でゆっくり2時間ぐらい煮ます。30分毎に肉を回してください。

  4. 肉を鍋から取り出します。ソースから、ニンニクの皮を取り出して、強い火でさらに煮詰め、ミキサーにかけます。アルマニャック、あるいはコニャック、そしてハチミツを加えます。ソースが滑らかになるまでにかき混ぜます。味を試して、塩、コショウを適当に加えてください。

    • できてから、肉を取り出して、ミキサーをかけます。私がいつも使っている、便利なハンドミキサーです。クリームスープを作るときにも、良く使います。ミキサーにかける前に、ニンニクの皮を取り出してください。
    • ハチミツを少し入れます。ブルゴーニュのハチミツが有名で、隣の村で作っているハチミツを使っています。
    • アルマニャック(またはコニャック)をミルクソースに入れることによって、最高に贅沢な味が生まれます。
  5. 出来上がりました。本日はマッシュポテトと一緒に出します。シナモンとハチミツのせいか、ソースの色も美しいオレンジ色になりました。飾りに使っている葉っぱはルッコラ。

    肉を鍋に入れ戻して、温めます。

    マッシュポテト、またはご飯と一緒に召し上がれます。グリーンサラダとデザートにフルーツがあれば、栄養上からも、完璧なメニューになると思います。ワインは、やはり濃い味のボルドーかブルゴーニュが似合います。

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