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Crisis as a chance Ⅱ

コロナをチャンスとして生きる-フランスの思想家のヒント その2

前回に続き、今のコロナ禍のような大きな厄災を、ひとつの転機、チャンスとしてとらえることを提唱したもう一人のフランスの有名な哲学者をご紹介します。
16世紀のフランスのルネサンス期の哲学を代表するMichel de Montaigne(ミシェル・ド・モンテーニュ/1533-1592)です。大ペスト禍や宗教戦争の時代に生きた彼は、「破局の時代に生きるための芸術」を提唱しました。それは変化をチャンスとして生き、一瞬一瞬を最後のように楽しみ、臆せずに現実に直面することです。

彼はある名言を残しています。
「わたしは踊るときは踊るし、眠るときは眠る」
つまり踊る以外は、眠る以外も何もできない、そして何もすべきでもない、ということで、その瞬間に行なっている行動に没頭すべきだ、ということです。それは少し日本の禅の教えにも似ているような感じがします。

そして、もう一つの、日本の「ものの哀れ」の発想に似たような説もあります。
「人生ははかないもので乱れやすい。ですから今のうちに行動して、生活の場を広げましょう」
と、呼びかけています。「私たちは皆どうせ死にますから、最後の日までに、死のことをあまり考えず、一生懸命に生きていくこと」が大切です。「死の瞬間まで、私の庭にキャベツを植え続けたい」という、彼のユーモアと遊び心を感じさせる言葉を残しています。「キャベツを作る」というのは人間としての建設的な活動を最後まで続けるべきだということでしょう。

モンテーニュ氏は子供の教育についても、今でも注目されている理論を残しています。子供は本や読書のみで学ぶのではなく、自分で体験することで成長できる、と主張していました。ですから、旅行し、友達を作り、コミュニケーションを取りながら学んでいくことが、本当の教育になる、と説明しています。その点については、コロナでそのような活動が難しくなっているのも事実で、特に子供たちに対するマイナス影響が大変だということも認めなければなりません。

モンテーニュ氏はシリルニク氏とは全く異なる時代に生きていましたが、そのお二人の思想家は、本格的なヒューマニストだと思います。つまり人間の善意と力を信じています。ペストのような危機を、それに起因する人間の苦しみを十分認めていますが、チャンスとして解釈し、どのようにたくましく生き延びることができるのか、についてのヒントをたくさん教えてくれています。ヨーロッパの長い、悲劇や成功の繰り返しからできた歴史からも、インスピレーションを得ることができます。

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フランスと大ペスト禍と宗教戦争の時代に生きていた哲学者のMichel de Montaigne (1533-1592)。「破局の時代を生きるための芸術」についての教えを提供し、今のコロナ禍の最中、いろいろなインスピレーションを受けることができます。
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「crisis(危機)」の字、そして「chance(チャンス)」の字が組み合わされているキューブゲームが今流行っています。
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もう一つ似たゲームは、「change(変化)」の字、そして「chance(チャンス)」を組み合わせたもの。横文字で見れば、文字が一つだけが異なり、言葉遊びとして面白いと思います。
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