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Slow Life and interior boom Ⅰ

「スローライフ」と「インテリアブーム」 その1

みなさんこんにちは。お元気でいらっしゃいますか?
ここスイスとフランスでは、コロナによる感染状況が徐々に改善され、まだ収束していませんが、だんだん普通の生活に戻りつつあります。しかしコロナによる影響が、様々な形で続いており、コロナが終息しても、それはある程度続くと予想できると思います。

それは特に、コロナ禍のおかげで生まれた「スローライフ」運動について言えると思います。今回は、「自分のインテリア」に対する考え方の変化について考えてみたいと思いました。以前ご紹介したフランスの精神科医・思想家ボリス・シリルニク氏にとっては、コロナ禍の中、人々が感染を恐れており、外出が不安になり、そこで我が家が「安全な避難所」となる、と説明し、大変興味深いことだと思います。

確かに、家で過ごす時間が必然的に増えるにつれ、人々が自分の生活環境をより意識することになるでしょう。シリルニク氏が、ヨーロッパでは、中世の大ペスト禍の時にも同じ現象が起こったことと説明しています。つまり、自分の家だけが安全なところで、病気に伴うストレスもそこで解消できる、ということです。

こうして、コロナの影響で自分の家が「避難所」になる、と考えれば、インテリアに対する考え方も大きく違ってくると思います。「避難所」は「繭」との意味もあり、自分の家をより快適にしたい希望にも繋がると思います。そして、その快適さは美しさに関わります。大ペスト禍の時にも、「自分の家を美しくしたい」という志向が生まれ、例えば当時の芸術にもその美の意識が現れている、とシリルニク氏が言います。例えば、当時流行っていた静物画には、家の中の様子が初めて美しく表現されています。

コロナ禍の中でも、自分の生活環境をより大切にし、よりこぢんまりして暖かく、居心地の良いインテリアに変える傾向が見られます。自分の家でたくさんの時間を過ごしているからこそ、それは「自分を大切にする」という他はありません。そして「スローライフ」こそが、私達にインテリアの大切さを意識させてくれると思います。日本では、「巣篭もり消費」という表現があるようですね。その一環として、インテリアに対する需要が高まり、より良いものを購入したいお客様が増えていると聞いています。スイス、フランスも同じような状況です。

そこでとても予想ができなかった現象が起こっています。コロナが、一般的に経済に悪影響を与えていますが、家具の市場が逆に伸びており、「インテリアブーム」になっているということです。例えばフランスのリーン・ロゼでは、家具の注文は前年の同時期を40%上回っており、製造が追いつかないほど、忙しくしている、と聞いています。

ロゼショップがまだ閉まっており、予約制度になっているのでお客様の来店数が減っていますが、それにもかかわらずロゼの家具を欲しがる人が急増しています。ドリームベッド社も、コロナの影響である時期売上が落ちましたが、最近は回復基調で、前年を上回るようになりました。旅行も外食もできないし、自動車を買ってもどこへも行けないし、消費者のマインドが自分のインテリアに集中しているようですね。 (次号に続く)

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大ペスト禍の一つの影響として、人々が「美しいもの」に興味を持ち始め、それを自分の家の中にも求めるようになりました。そのWillem Claeszによるネイチャーモルトの絵画(1631)がその影響を表現している、と言われています。
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現在のインテリアブームの中で、ロゼのソファもよく売れているようです。例えば2020年に発表されたROSETAsmaraが、コロナで変わってきたライフスタイルにふさわしいソファとして紹介され、メディアや消費者からの評判も上々だそうです。
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ROSETPukkaも2020年に発表されたソファで、「非常に美しくて快適なソファ」として話題になっています。
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フランスではArts de la Table「テーブルの芸術」がブームになっており、昔からある習慣ですが、コロナによって新たな命を吹き込まれたようです。
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フランスの「テーブルの芸術」の歴史についての本です。フランスの文化の欠かせない様子になっており、コロナが蘇らせたと言われています。
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